2014年12月28日日曜日

I'm cook


 Skinsの第2世代で、1番好きなのはナオミ。なので当初クックは不愉快な男でしかなかった。でも、この2人が信頼関係を築いていくにつれ、この印象は変わる。わたしは単純。一般的に無条件だということになっている親族からの愛情に2人とも恵まれていない。だからなのか単にたまたまなのか、愛情を持って差し伸べられた手に対して、彼らはどう対処していいか分からない。というか、クックは、実質そうした手を果たして得ていたことがあったのか分からない。でも、だからこそ、彼らは、愛だの恋だのセックスだのを抜きに、お互いを信じている。S4でともに罪悪感を抱えたナオミとクックのこんな場面がある。ナオミが「あんたは他のみんなよりハードに生きていて、人生を大事にしてるね、羽散らかして、その中で転げまわって、一瞬も無駄にしたくないみたい」と自己嫌悪でいっぱいの自分とクックを比較するんだけど、それに対して「でも他の奴が濡れて俺はそんなのクソどうでもいいと思っているけど、ちょっと堪える、だろ?」とめずらしくクックが心境を吐露し、ナオミが彼の肩に頭を乗せる。このシークエンスは、Skins全シーズンを通してベスト。

 S4の最後、クックが「I'm Cook!」と殴りかかる時、ああ、この子は「ゴシップ・ガール」のチャック・バスと似てるんだと分かった。彼らはいくつかの点で異なっているものの、似ている。共に、片親がいなくなり(どこかに行ってしまった、その行き先がどこか別の土地でもあの世でも、とにかくどっかに行った)、残った親からは疎まれている。その上、自分の両親と思っている2人が実際にそうであるかは確信が持てない。家族から見放され、酒とドラッグとセックスに逃げる。彼らは常に「お前は無価値だ」と言われ続けてきた男の子たち。だからこそ、彼らの行動指針は「おれはクックだ」もしくは「チャック・バスだ」となるのかもしれない。

 チャックにネイトやブレアがいたように、ひょっとしたらそれ以上の存在として、クックにはフレディとJJがいた。彼らは無敵の三銃士で、いつもたむろしていたフレディの小屋は安住の地だった。でもフレディは死に、逃亡犯であったクックはさらに殺人を犯す。これが彼らの物語の行き着くところだ。正直、Riseでの単なる下っ端売人のクックなんて誰も観たくなかったはず。でも、Riseで巻き込まれるように犯罪を犯すクックを見て、彼はもう「他の奴が濡れるのなんてそんなのクソどうでもいい」と言えなくなったんだと思った。そして、少しナオミのことを思い出すの。大人になるのは頼もしいけど悲しい。避けられないことだから余計に悲しい。

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